空き家問題の現状と課題分析を踏まえたうえでの効果的な売却戦略について

今回は「空き家の現状と課題」を分析しながら効果的な売却戦略について解説していきます。

全体の流れとしては以下の通りとなります。

  • 空き家関連の現状と課題
  • 空き家に関する補助金と控除について
  • 空き家を売却する3つの方法

ここからはそれぞれについて解説していきます。

空き家関連の現状と課題

最初に空き家関連の現状と課題について分析していきます。

対象とするデータは以下の通りとなります。

  • 日本の人口・世帯数の推移・将来推計
  • 空き家数の推移
  • 都道府県別のその他空き家率
  • その他空き家の現状
  • 空き家の取得経緯・所有者の居住地との関係
  • 空き家にしておく理由・利活用上の課題と管理面での課題

ここからはそれぞれについて解説していきます。

日本の人口・世帯数の推移・将来推計

人口・世帯数の推移及び将来推計

参照:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向

こちらのデータは国勢調査に基づいた人口と世帯数に関する情報です。

このデータからは以下の点が読み取ることが出来ます。

  • 人口に関しては2008年をピークとして減少傾向にある
  • 世帯数に関しては2023年をピークとして減少傾向にある

また、それぞれの減少のペースでは人口減少の方が減少のペースが早いことがわかります。

このことが人口が減少している一方で不動産価格が下がらない理由の一つと言えるでしょう。

参照:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

住宅ストック数と世帯数の推移

参照:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

こちらのデータは総務省の住宅・土地統計調査に基づいた住宅ストック数と世帯数の推移に関する情報です。

このデータからは以下の点が読み取ることが出来ます。

  • 住宅の総数及び総世帯数に関しては毎年増加傾向にある

住宅の総数に関しては新築の数が解体の数を上回る限りは増え続け、世帯数に関しては出産等の世帯数増加の要因と死亡や結婚等の世帯数減少の要因を比較するとまだ増加要因の方が強いことが分かります。

空き家数の推移

空家数の推移

参照:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

こちらのデータは総務省の住宅・土地統計調査に基づいた空家数の推移に関する情報です。

このデータからは以下の点が読み取ることが出来ます。

  • 空き家の総数はこの20年で約1.5倍(567万戸→849万戸)に増加している
  • 二次的利用、賃貸用又は売却用の住宅を除いた長期にわたって不在の住宅などの「その他空き家」(349万戸)がこの20年で約1.9倍に増加している

都道府県別のその他空き家率

全住宅ストックに占める「その他空き家」の割合

参照:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向

こちらのデータは総務省の住宅・土地統計調査に基づいた空家数の推移に関する情報です。

このデータからは以下の点が読み取ることが出来ます。

  • 全住宅ストックに占める「その他空き家」の割合の全国平均は5.6%である
  • 高知県、鹿児島県、和歌山県等6県において10%を超えている

その他空き家の現状

その他空き家の建て方・構造別戸数の割合

参照:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

その他空き家のうち腐朽・破損あり等の住宅の推移

参照:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

空き家の建設時期

(利用現況が売却用、賃貸用及び別荘・セカンドハウスとなっているものを除いたもの)

参照:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

これらのデータは総務省の住宅・土地統計調査に基づいた空き家の構造・破損・建設時期に関する情報です。

このデータからは以下の点が読み取ることが出来ます。

  •  「その他空き家」(349万戸)の内訳は、一戸建てが7割以上を占め「一戸建(木造)」(240万戸)が最も多くなっている。また、「腐朽・破損あり」のものは約101万戸となっている。
  • 利用現況が、売却用・賃貸用及び二次的利用の住宅以外の空き家は、3/4超が昭和55年以前(新耐震基準以前)に建設されたもの。

空き家の取得経緯・所有者の居住地との関係

空き家の取得経緯(N=3,912件)

参照:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

空き家の所在地と所有者の居住地の関係

参照:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

これらのデータは国土交通省の令和元年空き家所有者実態調査に基づいた空き家の取得経緯と空き家の所在地と所有者の居住地の関係に関する情報です。

このデータからは以下の点が読み取ることが出来ます。

  • 空き家の取得経緯は相続が55%である
  • 所有者の約3割は遠隔地(車・電車等で1時間超)に居住している

空き家にしておく理由・利活用上の課題と空き家の管理面での課題

空き家にしておく理由

参照:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向

空き家を売却・賃貸する上での課題

参照:国土交通省 住宅局 空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

これらのデータは国土交通省の令和元年空き家所有者実態調査に基づいた空き家にしておく理由と管理上の課題に関する情報です。

このデータからは以下の点が読み取ることが出来ます。

  • 空き家にしておく理由として、「物置として必要」のほか、利活用を図ろうとしても「更地にしても使い道がな い」、「住宅の質の低さ」や「買い手・借り手の少なさ」により空き家となっていることがあげられている。 
  •  実際に売却・賃貸を考えている所有者からは売却・賃貸する上での課題として、「買い手・借り手の少なさ」、 「住宅の傷み」や「設備や建具の古さ」があげられている。 
  • また、「解体費用をかけたくない」、「労力や手間をかけたくない」といった消極的な理由のほか、「特に困っていない」とする所有者も少なくない。 

このように空き家については絶対数が増加している一方で、相続などの所有の意思とは異なる形での所有形態が多く、所有者が遠隔地に住んでいることや現状では貸し出しが難しいという条件なども相まって空き家が増え続けていると考えれられます。

空き家に関する補助金と控除について

ここからは空き家に関する補助金と控除の一部について紹介していきます。

インスペクション(建物状況調査)について

インスペクション(建物状況調査)とは、 既存住宅状況調査を指します。

既存住宅状況調査技術者(国土交通省の定める講習を修了した建築士)が、既存住宅状況調査方法基準に従い、建物の基礎、外壁など建物の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合の状況を把握するための調査です。

インスペクションを実施するメリットは売主及び買主についてそれぞれ以下の通りとなります。

売主のメリット買主のメリット
・引渡し後のトラブル回避(取引後のクレーム等のトラブル回避に繋がります。)・より安心して購入の判断ができる(専門家の調査により建物の状況が把握できて、購入の判断の材料になる。)
・競合物件との差別化が図れる(購入希望者に安心感を与え、他の売却物件と差別化できる。)・メンテナンスの見通しが立てやすい(購入後のリフォームやメンテナンス等の予定を見込んだ取引が可能になる)

各都道府県において例年、既存住宅状況調査(インスペクション)に対する補助金が交付されるので、対象と成る都道府県の補助金を調べて見ると良いでしょう。

参考:滋賀県 令和5年度 既存住宅状況調査(インスペクション)に対する補助金

空き家を売却した場合の3,000万円特別控除

この控除は、被相続人が一人で住んでいた建物及びその敷地を相続し、その空き家を売却する場合に、一定の要件を満たす際に譲渡所得から最高3,000万円の控除ができる制度を指します。この控除の制度のイメージは以下の通りとなります。

参照:国土交通省 空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)

この制度の利用には以下の要件を全て満たす必要があります。

  • 売主が売却する建物及び敷地の全所有者(被相続人・故人)の相続人又は包括受遺者であること
  • 売主が被相続人の住んでいた建物とその敷地の両方を相続又は遺贈により取得したこと
  • 売主がその建物及び敷地の売却について過去にこの制度を利用していないこと
  • その建物が1981年5月31日以降に建築された物であること
  • その建物が区分所有建物ではないこと
  • 被相続人が、相続開始直前において、その建物にひとりで住んでいたこと→被相続人が老人ホーム等に入居していた場合には最後に居住していたこと
  • 買主が売主の親族等ではない第三者であること
  • 売買代金が1億円以下であること
  • 相続開始の時から売却まで、事業用、貸付用、又は居住の用に利用されていないこと
  • その建物が売却時に耐震基準に適合していること

こちらの控除の適用に関してはそれぞれ細かい確認事項が多いため、専門家へ相談することをおすすめします。

空き家を売却する3つの方法

最後に空き家の売却方法について、3つの手法を解説していきます。

買取業者に売却する

買取は、不動産会社が転売を目的として行う売却方法です。

通常、不動産会社は転売益を確保するために、市場価格よりもおおむね20%安い価格で購入を提案します。

これにより、売却価格が低くなるというデメリットがあります。

特に、取り壊しが必要な建物の場合、取り壊し費用を自分で捻出できない時には、買取が有効な選択肢となります。

一般的に、取り壊しが必要な建物を購入し、更に取り壊し費用を負担する個人の買主は少なく、そのような物件は一般市場で売却するのが困難です。

一方、買取を専門とする不動産会社なら、建物の状態に関わらず売却が可能です。

ただし、転売益と取り壊し費用を考慮して価格が大幅に下がるため、売却価格はかなり安くなりますが、すぐに売却できるというメリットがあります。

維持費の負担から早く解放されるなど、売却がすぐに可能な点を考慮すると、安価になるデメリットを補う価値がある場合もあります。

取り壊してから売る

空き家を売却する際には、建物を取り壊してから売るという選択肢も考えられます。

建物が古いもののまだ利用価値がある場合は、基本的に取り壊す必要はありません。

しかし、買主が住むことができない状態の建物の場合、売主が事前に解体することで売却がスムーズに進むことがあります。

一般的な戸建ての延床面積は約35坪です。木造建築の解体費用は坪あたり約4万円から5万円で、全体で約150万円程度になることが多いです。

売却に当たり更地として売却する場合は購入先は増える可能性は高いですが、取り壊しに費用が掛かることが難点です。

空き家バンクを利用して売る

空き家を売却する方法の一つとして、空き家バンクの利用があります。

空き家バンクとは、自治体が運営する売却情報のプラットフォームで、一般的な不動産会社では取り扱いが難しい物件も掲載可能です。

このシステムを利用する利点は、通常の不動産市場での取引が難しい物件でも、売り物件として紹介できる点にあります。

たとえば、家財道具がそのまま残されている物件や、急いで売る必要がない物件なども掲載することができます。

例えば、空き家を倉庫として使用していて、整理が追いつかず売却活動に踏み出せない場合でも、空き家バンクを通じて販売の機会を見つけることができます。

このように、空き家バンクは様々な状況にある空き家の売却に有効な手段となり得ます。

参照:草津市 空き家情報バンク

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、空き家の処分について解説してきました。

日本では現時点で全体の約14%が空き家状態であり、今後のその数値は増えることが確実視されています。

保有しているだけで処分に困っている空き家に関しては、まずは買取業者に価格を相談してみてはいかがでしょうか。

株式会社JR西日本イノベーションズが運営する「このび」は不動産の買取再販サービスです。

空き家は仲介経由での売却が難しい場合が多いため、簡易査定などを行って売却の実現性や具体性を挙げていくことが、空き家の処分の第一歩と言えるでしょう。

空き家の売却に関する相談がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

本記事の監修

戸建買取再販事業部 事業部長福田岳司

JR西日本に入社後、大阪駅での駅員を経て百貨店に出向し商売の基本と接客を学ぶ。その後三ノ宮駅の駅ビル開発計画推進を通じて不動産とまちづくりに従事。一度は海外で働きたいという想いからシンガポールに赴任。東南アジア各国で外国人向けJR西日本パスの販売を促進。現地法に基づく組織運営を学ぶ。帰国後はJR西日本イノベーションズ(現在)にて香港企業への出資や新規事業創出を担当。新規事業の第1号案件である「このび」を立上げたうえで事業統括・推進。自分も中古住宅をリノベーションした家に住む。
「このび」を通じてお客様に豊かな生活をコスパ良く提供したいと考えている。子育て真っ盛りの2児の父。趣味は演劇。

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