家の売却について進め方、物件の特徴と目的に応じた売却方法の検討について

今回は家の売却の進め方について、それぞれの目的と物件の特徴に応じた売却方法について解説していきます。

全体の流れとしては以下の通りとなります。

  • 売却の目的の整理
  • 売却の流れについて
  • 少しでも早く売却したい場合の方法について
  • 家を少しでも高く売却する方法

売却の目的の整理

最初に売却の目的を整理していきましょう。

一般的な売却の目的について挙げていきます。

  • 移住や転勤
  • 住み替え
  • 資金調達・経済的困難からの回復
  • 老後の生活設計
  • 市場の利益最大化

移住や転勤

移動や転職などに伴い、新しい場所に住む際の資金確保のための売却となります。

売却せずとも新居を購入する余裕があれば売却する必要はありませんが、一般に住宅ローンで購入した物件を理由なく賃貸に出すことは禁止されているため注意が必要です。

住み替え

現在の住環境が合わなくなったり、家族構成の変化(子供の誕生、成長、独立など)により、より適した物件に移るために売却を行うことがあります。

この場合は、新居への引っ越しと自宅の売却を調整する必要があります。

資金調達

自宅を売却して、教育費、医療費、他の投資など、大きな出費や他の資金確保が目的になる場合もあります。

それらの経済的な困難や負債の解消のために、資産としての自宅を現金化し支払いを行います。

老後の生活設計

メンテナンスの手間やコストを減らし、生活をシンプルにするために小さい家やマンションに住み替え、または老人ホームへの入居資金を得るために売却する場合もあります。

特に地方の物件では中心地に比べて医療センター等へのアクセスが不便な場合が多く、高齢の方の多くは自宅を売却して都心に住む傾向にあります。

相続した不動産を売却する

相続した不動産について相続税が発生するため売却する場合が多くあります。

不動産自体は分割して現金化することが困難である一方で、相続税は相続の開始があったことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に支払う必要があります。

相続税の支払いが出来る場合は問題ないですが、数百万~数千万単位の現金での支払いをすぐできる家庭はそこまで多くないでしょう。

このように、相続した不動産の売却を急ぐ場合があります。

市場の利益最大化

不動産市場が高騰している時に売却を行い、高利益を得るため。特に投資目的で購入した物件の場合、市場のピーク時に売却することで最大のリターンを目指します。

しかし、これはプロの不動産事業者が行うレベルの事ですので、一般の方は生活の基盤を掛けてまで行うものでは無いので注意をしましょう。

家の売却の流れについて

全体の流れ

家の売却においては大きく分けて以下の2つの流れで売却を進めていきます。

  • 仲介経由で第三者に売却する場合
  • 買取業者に売却する場合

上記の売却方法について、売却の手順は以下の通りとなります。

売却の手順仲介経由で売却する場合買取業者に売却する場合
相場を調べる約1週間
価格査定を行う約1~2週間
媒介契約の締結する約1週間なし
売却活動を始める約3カ月~半年なし
売買契約を締結する約2週間~1カ月
決済・引き渡し約2週間~1カ月
全体期間約4~8カ月程度約1~2カ月程度

不動産の売却において買取業者に売却する場合は、仲介経由で売却する場合の第三者の買主を探す工程が不要となるため、媒介契約締結や売却活動という作業が省かれることが分かります。

次に、それぞれの売却の場合におけるメリット・デメリットは以下の通りとなります。

仲介経由での売却買取業者に売却
メリット買取業者に比べて高価で売却が出来る短期間で売却が出来る
内覧対応が不要
契約不適合責任が免責される場合がある
仲介で売却しにくい物件も買い取ってもらえる
周囲に知られずに売却活動が出来る
突然の契約解除の可能性が低い
デメリット売却までに時間が掛かる
複数の内覧対応が必要
契約不適合責任が免責されない
仲介経由では売却が難しい物件もある
周囲に売却活動が気づかれる可能性がある
突然の契約解除の可能性がある
仲介経由での売却に比べて安価になる
(仲介売却価格の6~8割程度)
向いている人出来るだけ高く売却したい人
売却を急いでおらず、時間をかけることが出来る人
築浅、駅近、設備が最新等の人気物件の条件が揃っている物件を売却したい人
転勤、離婚、相続があり売却を急いでいる人
現金がすぐに必要な人
建物が古く、瑕疵がある等の買い手が付きにくい条件の物件を売却したい人
手間をかけずに売却したい人
周囲の人に売却を知られたくない人
仲介経由では買い手が見つからなかった人

最後の向き不向きの欄にある通り、高い価格で売却したい場合には不動産仲介、早く売却したい場合には買取業者に売却という流れになることが理解できたかと思います。

なぜ仲介では売却に時間がかかるのか

仲介を通じた売却が時間を要する理由には、売り出しの準備、買主を見つけるための販売期間、売買契約の日程調整などがあります。

特にこの買主を見つけるための販売期間が重要であり、そもそも物件情報を買主候補にリーチするための広告を打ったり、買主候補の内覧対応を行い、売買価格を合意するまでが最も重要で一番時間がかかる作業となります。

全体としては数週間の準備期間、3ヶ月の販売期間、契約から引き渡しまで1ヶ月が必要で、順調に進んだ場合でも合計で約4.5ヶ月かかることが見込まれます。

また、物件の状態が良くない場合や売出価格が適切でない場合は、売却までに半年以上かかることもあります。

なぜ買取業者への売却では安価になるのか

なぜ、買取業者へ売却すると仲介に比べて安価になるのか理由は以下の3つが挙げられます。

  • 買取業者が利益を得るため
  • 買取業者がリスクを負うため
  • 買取業者の場合仲介手数料が発生しないため

買取業者が利益を得るため

不動産会社は営利を目的としており、買取った不動産を再販することで利益を得ます。

例えば、市場価格が5,000万円の物件を不動産会社が7割で購入し、その後再販する場合、1,500万円の利益が生まれます。

ただし、この利益には売却までの維持管理費やリフォーム費用が含まれており、実際の利益はこれらの経費を差し引いた額となります。

買取業者がリスクを負うため

また、不動産会社は買取によるリスクも負います。

買取した物件の再販を前提にしており、一時的に物件を所有するため、すぐに売れない場合は固定資産税などの経費がかかります。

これらの負担が買取価格を抑える要因になります。

買取業者の場合仲介手数料が発生しないため

買取では仲介手数料が発生しないため、不動産会社は市場価格より低い金額での買取を行い、利益を確保します。対照的に、仲介では売主や買主から手数料を受け取るため、その金額が不動産会社の利益となります。しかし、買取の場合は、利益は買取価格と実際の売却価格の差額のみです。

少しでも早く売却したい場合の方法について

不動産を少しでも早く売却するためには目的に合わせて以下の手法で取り組むと良いでしょう。

  • 相場価格を把握して適正価格で売却する
  • 既存住宅瑕疵保険に加入する
  • 買取業者に売却する

ここからはそれぞれについて解説していきます。

相場価格を把握して適正価格で売却する

家を売却する上で最初に行うことは売却価格を調べることです。

家を購入する際には他と比較するために多くの物件を見て来たかと思いますが、売却する場合にも同様で、相場を調べることがとても重要になります。

適性価格を理解していないと市場と乖離した高い価格にこだわりすぎて、売却に必要以上の時間が掛かりすぎることがあります。

相場を調べることで売却価格と短期間での売却に繋がっていきます。

ここでは、一般の方でも調べられる2つのサイトを紹介いたします。

相場調査方法その① レインズマーケットインフォメーション

こちらのサイトは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理しています。

参照:レインズマーケットインフォメーション

相場調査方法その② 土地総合情報システム

こちらのサイトは、国土交通省が運営・管理しています。

参照:土地総合情報システム 不動産取引価格情報検索

2つのサイトはどちらも実際に売却した価格を見ることが出来るので、近隣物件や築年数が近い物件がどの水準で売却されているかを理解しておきましょう。

買取業者に売却する

やはり一番の手法は買取業者へ売却することです。

確かに、一番高く売るためには仲介経由で売却することが合理的であることは誰もが認めるところですが、先ほどの仲介経由に向いている場合ということで挙げた通り、条件はかなり限られてきます。

また、新築志向の強い日本においては一定のリフォーム等が行われていない中古の住宅を購入する文化はこれから醸成されるフェーズにあり、特に築古の物件を仲介経由で一定期間告知している場合には一度買取業者に声掛けしてみるのも良いでしょう。

家を少しでも高く売却する方法

次に、目的に合わせて家を少しでも高く売却する方法として以下の4点を紹介します。

  • 既存住宅瑕疵保険に加入する
  • 複数の会社に査定を依頼する
  • 内覧時の見せ方を工夫する
  • 売却の時期を見極める

ここからはそれぞれについて解説していきます。

既存住宅瑕疵保険に加入する

既存住宅瑕疵保険に加入している物件は、買主から見て一定の改修の保証がついている物件とみなされて高価格でも売却できる可能性があります。

ここからは既存住宅瑕疵保険の前提となる契約不適合責任についても詳しく解説していきます。

契約不適合責任について

契約不適合責任とは、不動産売買契約において、品質不良や品物違い、数量不足等の不備があった際に、売主が買主に対して負う責任のことを指します。

2020年に民法が改正されて、これまでよりも売主が負う責任が重くなりました。

これにより、売却に当たり物件に対する瑕疵(例:シロアリ被害や雨漏り等)については細心の注意を払って確認する必要が出てきました。

また、売却後であっても瑕疵が発覚した場合には、修繕や売買契約の解除等を行わなくてならないのです。

契約不適合責任のポイントは以下の通りとなります。

  • インスペクション(建物状況調査)を行ったうえで、住宅の瑕疵を明らかにする
  • 雨漏りやシロアリの被害、外壁ひび割れ等の瑕疵は事前に買主に伝える
  • 瑕疵を隠して売った場合でも、発覚した際には修繕や売買契約の解除が求められる
  • 売却後に売主がいつまで契約不適合責任を負う特約になっているかを明確にする

瑕疵担保保険について

先ほどの、契約不適合責任でのトラブルを防ぐための処置として、瑕疵担保保険というものが存在します。

瑕疵担保保険は、契約不適合責任での修繕費や調査費、工事中の仮住まいへの引っ越し費用の一部をカバーしてくれる保険となります。

保険業者は国土交通省が指定している住宅瑕疵担保責任保険法人となります。

参照:国土交通省 住宅瑕疵担保責任保険法人一

瑕疵担保保険のポイントは以下の通りとなります。

  • 住宅瑕疵担保責任保険法人の保険会社に加入する
  • 瑕疵の修繕費、調査費用、仮の住まいへの引っ越し費用の一部を負担してくれる
  • 支払われる保険金の上限額は2000万円(オプションで上限を引き上げることも可能)
  • インスペクション(建物状況調査)に合格する必要がある

複数の会社に査定を依頼する

家を高く売るためには、複数の不動産会社から査定を受けることが推奨されます。

具体的には、3〜5社程度に査定を依頼すると良いでしょう。

各不動産会社には得意な分野や地域が存在しますが、売却経験がない人にはこれを判断するのは難しいです。

そのため、複数社からの査定結果を比較することで、最適な不動産会社を選ぶ可能性が高まります。

また、中には自社を選んでほしいために他社よりも高額な査定価格を提示する会社も存在します。

これにより、容易に売却が成立しない場合があり、結果として価格を何度も下げ、最終的には相場よりも低い価格で売却しなければならなくなることも考えられます。

そのため、査定価格を見る際には、その根拠をしっかり確認し、他社の査定額との比較を行うことが重要です。

内覧時の見せ方を工夫する

物件に興味を持った購入検討者への内覧は、売却活動の重要な一環です。

購入者が既に興味を持っている場合でも、内覧で良い印象を与えなければ契約に至るのは難しいです。

そのため、内覧の際は事前に見せ方を工夫することが重要です。

特に、キッチンや浴室、洗面所などの水回りや、目につきやすい箇所は清掃を徹底することが推奨されます。

自力で対応が難しい場合は、プロのハウスクリーニングを利用する選択も考えられます。

さらに、売主が内覧に同席することで、近隣の買い物施設の利便性など、実際の生活環境について直接情報を提供できるメリットがあります。

これにより、購入者は物件に対するリアルなイメージを持つことができ、購入への決断につながるかもしれません。

売却の時期を見極める

売却時期の見極めも、不動産売却の成功には欠かせない要素です。

一般的に、転勤や進学などで人の移動が多い9〜10月や2〜3月は不動産会社の繁忙期となります。

この時期に売却を計画することで、多くの潜在的な購入者にリーチすることが可能です。

家を売却する際は、査定から売却活動までに2週間から1ヶ月ほどかかることが一般的です。

したがって、繁忙期に合わせて売却活動を展開できるように、事前にスケジュールを計画しておくことが重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

家の売却はそれぞれの家庭に応じた理由があり、売却の価格を最大にすることを目標にする場合と最短で売却することを目標する場合とそれぞれあります。

それぞれの場面に応じて、仲介経由での売却と買取業者への売却の使い分けが重要になります。

不動産の買取再販サービス「このび」

買取業者への不動産売却をご検討中の場合は、株式会社JR西日本イノベーションズが運営する不動産の買取再販サービス「このび」を利用してみてはいかがでしたでしょうか。

「このび」では査定から売却まで最短で1カ月で手続きを行うほか、築古物件や仲介経由では買い手がつかなかった物件でも買取を行うことが出来ます。

自宅の売却に関する相談がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

本記事の監修

戸建買取再販事業部 事業部長森一也

鉄道を通じて地域の発展に貢献したいとの思いから、JR西日本に入社後、鉄道電気設備の維持・管理業務に携わる。
鉄道だけでなく幅広く地域の発展に貢献したいとの想いから、不動産の買取再販を行うこのびに参画。
鉄道業務で培った高い安全性・信頼性を自身の価値観とし、お客様との信頼関係構築を第一に、一人ひとりに寄り添った提案をすることを大切にしている。
このびでは営業・リフォーム・販売の経験を持ち、現在は事業統括・推進を行っている。
「このび」を通じてお客様に豊かな生活を提供することで、地域の発展に貢献したいと考えている。
子育て真っ盛りの1児の父。趣味はキャンプ。

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